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Vol.93 仮想通貨元年2017

 

 西暦2017年も、はや1ヶ月が過ぎました。
 昨年は、イギリス国民投票でのEU離脱支持派の勝利、アメリカ大統領選でのトランプ氏勝利など「グローバリズムからナショナリズムへ」と向かい始めた年でした。

 今年も世界的には、いろいろな動きがあるかと思いますが、国内ではどういう動きがあるでしょうか?
 いろいろな出来事が予想される中で、今回は、過去を振り返った時に「あの年がスタートだったなあ」と思われるものの1つとして、仮想通貨を挙げてみたいと思います。

 昨年2016年5月25日、仮想通貨に関する改正資金決済法が成立しました。そして公布後1年以内の施行が予定されています。(公布日は6月4日)

 今年から仮想通貨が、支払いや決済手段としての機能もあることが認められ、施行後は、小切手やプリペイドカードと同様に、少しずつ身近なところでの利用が広がっていくものと考えられます。

 しかしこのような状況の中、諸外国と比較すると日本においては、ビットコインを軸とする仮想通貨の認知度・普及度が遅れているとも言われています。

 そこで今回は、まずビットコインの生い立ちや歴史を紹介します。次に世界中に600とも1,000以上あるとも言われている仮想通貨の中から、ビットコイン以外の代表的なものを2つ簡単に説明し、その後、2016-2017年にかけての仮想通貨に関する、日本における状況を書いてみます。

 少し長めの記事となっていますので、時間がとれない方は、各見出し単位で、数回に分けて読んでいただけると、ありがたく思います。


1.ビットコイン
2.その他の仮想通貨(暗号通貨)
3.日本における動き2016-2017年
4.さいごに


 

1.ビットコイン

 仮想通貨と聞いて、あなたは何を連想しますか?
 「ビットコイン、マウントゴックス社の破綻とコイン消失、怪しい、危ない」などが、まず頭に浮かぶことかと思います。

 マウントゴックス社破綻のマスコミ報道によって「ビットコインは危ないもの」との認識が日本国内で広がってしまいました。

 しかし正確には「世界中にある取引所の1つが破綻した」という出来事であり、ビットコイン自体が危なくなった訳ではありません。

 マウントゴックス社破綻後も、ビットコインは世界中で活発な取引が行われています。

 それでは、仮想通貨の王者とも言われるビットコイン、その成り立ちから見ていきましょう。

 2008年に、Satoshi Nakamoto(サトシ ナカモト)と名乗る謎の人物が、暗号学者のメーリングリストにオリジナル論文を投稿しました。
 論文のタイトルは「Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System」です。
 ビットコインは、この投稿された論文に基づいて作成されました。

 その目的とは何か?
 「信頼できる第三者機関が存在しなくても、インターネット上を流通する電子的価値」を実現する。しかも、政府の力を借りずに実現する。
 というものでした。

 ビットコインには、発行している機関や国はありません。コインを管理している銀行のような機関も存在しません。
 一言でいうと、ブロックチェーンという今までに存在しなかった新しい技術により、ネットワーク上の承認サーバーの多数決により、取引の動きや所有状態が保証されています。
 また過半数承認のルールにより、改竄も困難となっています。

 ブロックチェーンという全く新しい分散型台帳技術を発表した「サトシ ナカモト」なる人物、ないしはグループは、未だに明らかになっていません。
 カリフォルニア大学ロサンゼルス校教授が、2016年のノーベル経済学賞に「サトシ ナカモト」を推薦しましたが、スウェーデン王立科学アカデミーは「賞が正体不明の人物に授与されることはない」との扱いだったようです。

 ここで少し話が脱線しますが「仮想通貨」というワードについて書いておきます。

 日本国内では「仮想通貨」という呼び方が一般的に使用されています。
 しかし、ビットコインなどに詳しい人たちや、海外(英語圏)の一般的なメディアなどは「暗号通貨(クリプトカレンシー)」という呼び方だそうです。
 英語圏の人に「仮想通貨(バーチャルカレンシー)」といっても、通じないかもしれません。

 日本国内で使用する分においては「仮想通貨」=「暗号通貨」さらに(=「価値記録」=「デジタル通貨」)は、同じようなものとの認識でいいと思います。

 厳密に「仮想通貨」と言えば、ビットコインよりも、日本銀行券の方が性質が近いです。
 ビットコインは、コインの発行量(採掘量)の上限が決まっており、金と同じような性格を持ちます。
 日本銀行券は、ニクソンショック以降、金とドルとの互換性がなくなり、際限なく紙幣を刷ることができるようになりました。
 そして国が「預金封鎖」と「日本円廃止」の方針をとれば、円の価値がなくなります。
 過去にも1946年に「預金封鎖」と「新円切替」が行われています。その点、ビットコインには、管理者がいませんので、このような施策は不可能です。

 円が仮想通貨?
 おかしな解釈のように聞こえますが、あながち、まちがいとも言えません。
 いずれにしろ、ビットコインなどは「暗号通貨」と呼び名を統一した方がいいように思います。

 話を元に戻しまして、ビットコイン誕生後の動きは、どうなったでしょうか?
 いろいろな出来事がありましたので、箇条書きで書いてみます。

 ビットコインの歴史と価格推移 – ビットコインの解説 Bitcoin日本語情報サイト
 http://jpbitcoin.com/about/history_price
 (※価格推移の単位は円)

2009/01/03 終値 0 ビットコインの最初のブロックが誕生
2009/01/09 終値 0 バージョン0.1がリリース
2009/01/12 終値 0 最初のビットコイン取引が行われる
2009/10/05 終値 0.07 New Liberty Standardによりビットコインの価格が初めて示される
2009/10/12 終値 0.09 ビットコインと法定通貨間の交換が初めて行われる
2010/05/22 終値 0.2 実際の店舗(ピザ屋)で初めてビットコイン決済が行われる
2010/07/11 終値 0.7 Slashdotにビットコインが取り上げられる
2010/07/18 終値 7 ビットコイン取引所Mt.Goxがサービス開始
2010/08/15 終値 6 ビットコインのバグにより1,840億BTCが偽造される
2010/09/18 終値 5 マイニングプール(Slush’s pool)による採掘に初めて成功する
2011/03/06 終値 74 Mark Karpelesが運営する日本を本社とするTibanne社にMt.Goxが買収される
2011/04/16 終値 87 TIME誌がビットコインを特集
2011/06/12 終値 1,489 最初のビットコインバブル、一時31.91ドルに
2011/06/19 終値 1,401 Mt.Goxがハッキング被害を受ける
2012/05/09 終値 402 FBIのビットコインに関するレポートが流出
2012/11/15 終値 909 WordPressがビットコイン決済を受付開始
2012/11/28 終値 1,013 最初の半減期(50BTC→25BTC)
2013/03/11 終値 4,736 バグによりブロックチェーンの分岐(ハードフォーク)が発生
2013/03/16 終値 4,597 キプロス危機によりビットコイン価格が上昇
2013/03/19 終値 5,718 世界初のビットコインATMがサービス開始
2013/10/01 終値 13,356 オンライン闇市場のシルクロード運営者が逮捕
2013/12/04 終値 123,100 NHKで初めてビットコイン特集が組まれる
2013/12/05 終値 110,000 ビットコインが史上最高価格をつける
2013/12/05 終値 110,000 中国政府が金融機関によるビットコイン取引を禁止
2014/02/24 終値 18,280 Mt.Goxが閉鎖
2014/04/01 終値 49,614 Zaifの前身であるetwingsがサービス開始
2014/04/09 終値 44,887 BtcBoxがサービス開始
2014/05/26 終値 59,294 bitFlyerがサービス開始
2014/06/13 終値 60,932 マイニングプールのGhash.ioのハッシュレートが51%に到達
2014/06/18 終値 61,649 bitbankがサービス開始
2014/06/30 終値 64,774 Quoineがサービス開始
2014/07/18 終値 63,670 米Dell社がビットコイン決済を受付開始
2014/09/19 終値 42,710 coincheckがサービス開始
2014/10/30 終値 37,534 Krakenが日本円でのサービス開始
2014/12/11 終値 41,180 米Microsoft社がビットコイン決済を受付開始
2015/01/04 終値 31,749 Bitstampがハッキング被害を受ける
2015/06/03 終値 28,027 ニューヨーク州のビットコイン規制「BitLicense」が正式発表
2015/08/01 終値 34,603 Mt.Goxの経営者Mark Karpelesが逮捕
2015/08/15 終値 33,277 ビットコインのフォークであるBitcoin XTがリリース
2015/10/22 終値 32,997 欧州司法裁判所がビットコインはVATの課税対象外との判決を下す
2016/02/10 終値 44,946 ビットコインのフォークであるBitcoin Classicがリリース
2016/03/01 終値 49,602 DMM.comでビットコイン決済を受付開始

 価格的には2016年末から2017年初頭にかけて、15万円を突破しました。
 中国での出来高が著しく増えていましたので、中国元→ビットコインへの逃避流出と思われます。
 その後2017年1月中旬以降は、少し価格も落ち着き、9 – 11万円の範囲に推移しています。

 

2.その他の仮想通貨(暗号通貨)

 最初の分散型暗号通貨であるビットコインの、成り立ちや歴史を見てきましたが、今のような規模での使用が想定されていなかったため、いろいろな問題点も指摘されています。

(1)1取引の承認に必ず10分以上かかる。(10分間問題)
(2)大量の取引を消化するのが遅い。(1秒間で 5-7 件の取引)
  (VISAは毎秒平均 3,600 件、ピーク時 65,000 件以上)
(3)可能性は低いが、51%アタックを受けると、二重支払いが可能となる。
(4)基本的に、口座残高と取引履歴が全て公開されているため、セキュリティ面が心配。(アドレス保管と運用)
(5)管理・取り纏め機関が無い。→改善点は、いろいろあるが仕様改善がなかなか進まない。

 ビットコインの誕生以降、数々の問題点を解決しながら、いろいろな種類の暗号通貨が続々と出現しました。
 「21世紀のゴールドラッシュ」ともいわれる暗号通貨分野に参入者が続々と増えていき、2017年初頭現在、暗号通貨の数は世界中に600とも1,000以上あるとも言われています。
 それに比例して、怪しい投資話も、いろいろとあるようですので、自分が理解できないものには、手を出さないようにすることが賢明です。

 それでは、その取引情報一覧をランキング形式で見てみましょう。(2017年1月下旬現在)

 Crypto-Currency Market Capitalizations
 http://coinmarketcap.com/

1位 ビットコイン
2位 イーサリアム
3位 リップル
4位 ライトコイン
5位 モネロ
6位 イーサリアム クラシック
7位 ダッシュ
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 と並んでいます。
 ランキング上位のものは、取引が活発で有名な暗号通貨といえます。
 それでは、この中から、1位ビットコインに続く2位、3位となる暗号通貨の特徴を軽く書いてみましょう。

2位 イーサリアム

 イーサリアムとは「イーサリアムプロジェクト」により開発が進められている、分散型アプリケーションなどを構築するためのプラットフォームやオープンソースの総称をいいます。

 そこで使用される暗号通貨を「イーサー」と呼びますが、イーサリアムという呼び方が普及しており、暗号通貨自体をイーサリアムと呼ぶ人が多いです。

 特徴としては、ビットコインはコインの移転状況のみ記録されるしくみでしたが、イーサリアムにはさらに「スマートコントラクト」が付加されました。
 スマートコントラクト?
 スマートな契約?
 簡単に言うと「記載された契約の履行とともに、コインが移転し、改ざん不可な記録として残る」と言えます。
 簡単に言っても、抽象的でよくわからないですね。

 しかし、このしくみは、特別な調整機関を必要とせず、デジタルで表現できる、ありとあらゆる権利取引や契約といったことを、低コストで実現することができます。
 「取引に関する社会基盤を根底から覆す」ポテンシャルを秘めていると言っても、過言ではありません。

 イーサリアム関連の開発者も「イーサリアムは、まだ実験段階である」と昨年9月のカンファレンスにて言及しており、今年以降も、幅広い分野で、いろいろな動きがあるはずです。

 また昨年7月、ドイツ企業の Slock.it による暗号通貨ファンド The DAO が、スマートコントラクトのプログラムの不備をつかれ、数十億円分をハッカーに不正取得されました。その後の修正作業(ハードフォーク)を巡って支援団体がもめ、イーサリアムから分派した通貨が作られました。それが「イーサリアム クラシック」です。

3位 リップル

 イーサリアムが「コイン移転情報+契約内容」が特徴であったのに対して、リップルは、ビットコインが持っている致命的な弱点である、承認の遅さや消費電力が、かかりすぎる点を克服しています。

 決済時間に要する時間が、ビットコインの平均10分程度に対して、リップルでは数秒程度の短さです。
 また承認方法のちがいにより、消費電力もビットコインと比較すると、抑えられています。

 ビットコインの承認方法は、PoW(プルーフ オブ ワーク)方式が使われています。
 訳すると「仕事量の証明」とも言えます。多大な計算量が必要な問題(特定の条件を満たすハッシュ関数への入力値を探す)を総当り方式で計算して解きます。
 そして、いち早く解いた人にビットコインが与えられるという「採掘(マイニング)」方式のため、CPUをより働かせた者が勝者となります。

 この採掘を目当てにして、高性能コンピュータが次々と投入され、消費電力も大きくなっていくという流れです。
 2013年時点で、電力料金は1日あたり15万ドルに上るとの推計も発表されています。

 一方リップルはPoW方式ではなく、RPCA(リップル プロトコル コンセンサス アルゴリズム)と呼ばれている、独自に開発されたコンセンサスシステムによって承認作業を行います。

 ある特定の承認者と、その周辺の承認者たちによって、取引記録の確認が得られた時に、新規の取引が承認される仕組みです。この承認者は Validator と呼ばれ「結束してネットワークを騙そうとする人間では無い」という条件で選ばれます。少数による承認制のため、電力消費量が膨大になることは、ありません。

 別の問題として、承認者のほとんどが、Ripple Inc が管理しているサーバーとなっており、取引の承認は、全て Ripple Inc によって決められています。

 管理者がいないビットコインの対極をなす「中央集権体制による承認方式」となっていますが、将来、銀行や公的機関がRippleネットワークを利用するようになると、Ripple Inc 以外の Validator が増えていくことになると思います。

 承認の方法としては、PoWやRPCAのほかに、以下のようなものがあります。

(1)PoS(プルーフ オブ ステーク)

 訳すると「出資の証明」となりますが、力技・体力勝負のPoWとはちがい、コインの保有量X期間が大きい程、承認しやすくなるという特徴があります。ビットコインのような、余計な承認競争はなく、コストも抑えられます。

(2)PoI(プルーフ オブ インポータンス)

 PoWは、性能のいいスーパーコンピュータを運用出来る資金を持った人ほど、PoSはコインをたくさん所持している人ほど有利になる、すなわち「お金持ちがさらに豊かになっていく」というような問題があったのですが、PoIは、持っているお金だけではなく、取引をした額や、取引をした人も考慮に入れて、承認のしやすさを決定する方法です。

(3)PBFT(プラクティカル ビザンチン フォールト トレランス)

 分散コンピューティングの世界では「ビザンチン将軍問題」という合意形成を問う問題があります。
 しかし合意形成の失敗=「ビザンチン障害」を解決するためのアルゴリズムは理論上、計算量が膨大となるため、実用化が難しいとされていました。
 1999年に、実用的(Practical)なアルゴリズムが提唱され、そのアルゴリズムをブロックチェーンへ応用したものです。
 リップルのRPCAにおいても、その基礎となっています。

 最後にリップルは、決済スピードと、どの通貨とも交換可能な「ブリッジ通貨」としての特徴により、金融機関での注目度も高い暗号通貨です。

 

3.日本における動き2016-2017年

 ここまで、ビットコインの歴史や、その他の代表的な暗号通貨について書いてきました。
 ここからは、昨年からの仮想通貨に関する、国内での動きについて、見ていきましょう。

[1]改正資金決済法の成立

 冒頭にも書きましたが、まず大きな節目として挙げなければならないのが、昨年2016年5月25日の「仮想通貨に関する改正資金決済法の成立」です。
 公布後1年以内の施行が予定されています。(公布日は昨年2016年6月4日)

 では主な改正点は、どんな内容でしょうか?
 銀行法、農業協同組合法等、多岐にわたって改正されていますが、資金決済法に絞って見ていきます。

 情報通信技術の進展等の環境変化に対応するための銀行法等の一部を改正する法律案 新旧対照条文
 http://www.fsa.go.jp/common/diet/190/01/shinkyuu.pdf

(1)仮想通貨の定義( 第2条の5 )( 107ページ )
(2)仮想通貨交換業者の登録(第63条の2 )( 120ページ )
(3)利用者財産の管理( 第63条の11 )( 126ページ )
(4)仮想通貨交換業者の監督( 第63条の13-19 )( 128-132ページ )


 各項目毎に、少し説明を加えていきます。

(1)仮想通貨の定義( 第2条の5 )( 107ページ )

 「仮想通貨とは何か?」が条文として、定義されました。
 (※この項目は、正確性を重視し、条文そのものを書きます。)

 5 この法律において「仮想通貨」とは、次に掲げるものをいう。(新設)

 一 物品を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、かつ、不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値(電子機器その他の物に電子的方法により記録されているものに限り、本邦通貨及び外国通貨並びに通貨建資産を除く。次号において同じ。)であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの

 二 不特定の者を相手方として前号に掲げるものと相互に交換を行うことができる財産的価値であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの

 (※以下の項目は、要点のみ書いていきます。)

(2)仮想通貨交換業者の登録( 第63条の2 )( 120ページ )

 「仮想通貨交換業」が定義され( 第2条の7 )( 108ページ )内閣総理大臣への登録が必要となった。

(3)利用者財産の管理( 第63条の11 )( 126ページ )

 自己資産と利用者財産の分別管理が決められた。
 定期的に公認会計士又は監査法人の監査を受けることが求められている。

(4)仮想通貨交換業者の監督( 第63条の13-19 )( 128-132ページ )

 仮想通貨交換業者は、帳簿書類の作成と保存、事業年度毎の、報告書の作成と提出が義務付けられた。
 立入検査や業務改善命令、業者登録の抹消などの監督規制を受けることとなった。

 以上、少し説明を加えてみました。

 一言でいえば、仮想通貨がきっちりと定義され、仮想通貨交換業者への監督・監視が厳格になりました。
 主な改正点は、以上のようになりますが、施行後は、ユーザーが安心して取引・交換できる取引所の整備、マネーロンダリングやテロ資金供与を防ぐしくみが動き始めます。

 また「支払い手段」としての位置づけを明確にするように、財務省と金融庁が、2017年春を目処に、仮想通貨の消費税を非課税にする調整に入ったとの報道もなされています。(2016年10月)

[2]金融機関における動き

 昨年2016年は、法律面が大きく改正していくのと合わせて、金融機関でも、様々な動きがありました。報道記事などをウォッチしていきます。

 邦銀38行がSBI Ripple Asiaのコンソーシアムに参加 Ripple総合まとめ(2016年10月25日プレスリリース(SBI Holdings))
 http://gtgox.com/ripple/20161004/%E9%82%A6%E9%8A%8038%E8%A1%8C%E3%81%8Csbi-ripple-asia%E3%81%AE%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%82%BD%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%82%A2%E3%83%A0%E3%81%AB%E5%8F%82%E5%8A%A0/

 「2016年8月に SBI Ripple Asia、横浜銀行、住信SBIネット銀行から設立の発表が行われた『ブロックチェーン技術等を活用した国内外為替一元化検討に関するコンソーシアム』に、邦銀38行が参加した」という記事です。内訳は、地銀26行、大手行やネット銀行12行です。最終的には42行での発足となったようです。
 参加銀行は、北は青森から南は沖縄まで、日本全国から集まっています。

 日本の3大メガバンクが全銀システム業務にブロックチェーンを適用する実証実験、bitFlyerが新アルゴリズムを提供 | TechCrunch Japan(2016年11月30日記事)
 http://jp.techcrunch.com/2016/11/30/three-japanese-banks-try-blockchain/

 ブロックチェーン技術を実ビジネスに適用する実証実験の中でも、大きなインパクトのある記事かと思います。
 実証実験の内容は、銀行間の決済において、現状では「全銀システム」が担当している「ペイメント」業務をブロックチェーン技術により置き換えるもので、規模としては144行が参加する前提での実験でした。

 そして、そのブロックチェーン技術は、どこが開発したもの?名前は?

 bitFlyerの「Miyabi」です。国産です。
 bitFlyerと言えば,日本国内での中核となるビットコイン取引所です。

 bitFlyerがブロックチェーン技術Miyabiを発表、新アルゴリズムとスマートコントラクト搭載 | TechCrunch Japan(2016年12月21日記事)
 http://jp.techcrunch.com/2016/12/21/bitflyer-announces-private-blockchain-technology-miyabi/

 この発表記事の中で、次のように語られています。

>ビジネスモデルとしてはSI(システム構築)よりもプラットフォームを志向していると話しており、「今後1-2年の間に、BaaS(Blockchain as a Service)の形でプラットフォームとしてMiyabiを提供することも考えている」とのことだ。

 現在、BaaSというワードは「Backend as a Service」という意味で「Webアプリケーションのサーバサイド機能をクラウド上で提供する」という使われ方がされていますが、数年もたつと、BaaS(Blockchain)の方が、SaaS(Software), PaaS(Platform), IaaS(Infrastructure)と同じように、よく使われるようになるのでしょうか?

 三菱UFJ、仮想通貨発行へ 17年度中、一般向けに – 共同通信 47NEWS( 2017年1月3日記事 )
 https://this.kiji.is/188891921046634499

 独自の仮想通貨「MUFGコイン」、昨年から開発を進めていることは報じられていましたが、今年に入り「一般向けに発行する」方針が固まったようです。

 特徴として、以下の4点が挙げられています。

・国内送金が法定通貨より早く安い
・スマホで開設できる専用口座を用意
・円と交換できるようにして、新たに開発するATMで引き出し可能とする構想も
・コンビニのポイントと交換できるようにするアイデアも

 一般向けに発行されて、どのような活用のされ方をするのか?楽しみです。

 以下2つのURLは「MUFGコイン」発行に関して、ユーザーへの利便性とは別の理由も書かれてあります。
 興味がおありの方は、一読してみて下さい。

 三菱UFJ銀行、密かに一大計画推進…「莫大なカネ食い虫」巨大システムを捨てる日 | ビジネスジャーナル(2016年7月5日記事)
 http://biz-journal.jp/2016/07/post_15755.html

 MUFGコインにみる金融機関の現状と未来 ファイナンス稲門会フィンテックセミナー開催 | FinTech online(2016年6月22日セミナー開催)
 https://fintechonline.jp/archives/100044

 

4.さいごに

 「びっくりぽんや」

 2015年度下半期に放送されたNHK連続テレビ小説「あさが来た」

 江戸時代に両替商であった3豪商、京都の今井家、大阪の山王寺屋(眉山家), 加野屋(白岡家)が、明治維新の波に翻弄されながら、繁栄・没落の様子を描いた物語でもありました。

 江戸時代には、複数の通貨が存在し、江戸では小判や一分金などの金貨、大阪では丁銀や小玉銀などの銀貨が使用され、他に寛永通寳などの銭貨が流通していました。

 また時代によって、貨幣の品質にもバラつきがあり、例えば、小判では金含有率が、正徳小判(正徳4年(1714年))が約87%, 文政小判(文政2年(1819年))が約56%ほどでした。
 そのうえ、幕府の御定相場も存在していましたが、実質は変動相場で取引されていました。

 そういう背景があり、両替商は安定した商売を営むことができていましたが、明治に入り、通貨制度が円に統一され、両替の必要性がなくなり、銀行や他の新規事業へ転進できなかった両替商は、廃業・没落していきました。

 さて仮想通貨が一般国民の中に認知され始め、歩みは遅いが身近な社会生活の中で、着実に普及し始めていくであろう今年「仮想通貨元年2017」

 江戸時代の金貨、銀貨を、ビットコインやリップルなどの暗号通貨と置き換えて見たら?

 そうです。両替商の復活。

 bitFlyerのような、先進技術を持つ取引所が伸びていくのか?あるいは、ウォレットの作成や保管、通貨の購入や転送方法など、わからないことは店舗で相談ができる都市銀行や地方銀行・信用金庫のような業態が両替商業務を包含していくのか?先の動きはまったく予想ができません。

 さらに加えて、フィンテック技術と集積情報の融合により、担保に頼らず独自の判断で、タイムリーな融資提案を行う新たな企業が「両替と与信と決済」業務を担っていくのか?

 「Amazon レンディング」に両替機能が付加された形態や、ビットコイン融資である「P2Pレンディング」に貸し倒れ抑制の、スマートコントラクトを用いたシステムの出現などは、なんとなく想像できるのですが、「へぇー」と思われるようなサービスやしくみが、外資系企業、国内企業絡めて、今年・来年あたりから、目に見える形で、いろいろと展開されていくことでしょう。

 技術的な側面から見ると、ビットコインのような管理者がいない、パブリックブロックチェーン技術が主流になれば、社会のしくみ・制度が、激変するでしょうし、プライベートやコンソーシアム(共同管理)ブロックチェーン技術が主流になれば、統制・管理の方向が強化されていくことでしょう。

 明治から大正に入る頃
 「昔はね、お金を借りたりするのは、両替屋というところが、やっていたんだよ」
 と、言っていたのかどうか、わかりませんが、
 これから30 – 40年後に
 「昔はね、お金を借りたりするのは、銀行というところが、やっていたんだよ」と言うようになるところまで行き着く、スタートの年となるのでしょうか?

 今年から始まる通貨に関する認識の変化や、世の中のしくみの変わり具合、あなたも、そして私も、いっしょに見て、そして体験していくことにしましょう。

 少し長めの記事となりましたが、最後までお読みいただき、ありがとうございました。

<参考文献>
※記事内の参照URLは除く

平成26年度市民講座 第1回 :「ビットコインとはなんだったのか」 岡田 仁志 – 国立情報学研究所 – YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=wNBYHFF2W5Y

Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System
https://bitcoin.org/bitcoin.pdf

日本語で読むビットコイン原論文 [by Satoshi Nakamoto] | coincheck(コインチェック)
https://coincheck.com/blog/292

最先端を走るブロックチェーン技術者によるパネルディスカッション │ スマートコントラクトカンファレンス2016 レポート第2回
http://gaiax-blockchain.com/smart-contract-conference-report-2

平成27年度 我が国経済社会の情報化・サービス化に係る基盤整備報告書 野村総合研究所(ブロックチェーン技術を利用したサービスに関する国内外動向調査)
http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/shoujo/blockchain/pdf/report_01_01.pdf

Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8

 

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