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Vol.98 買い物に困っていることは?

 

 買い物弱者という言葉があるように、普段の買い物に困っている人がいます。今回は、当社が2015年に実施した調査結果を中心に、普段の買い物でどのような消費者がどのようなことに困っているのかなどについてみていきたいと思います。

調査対象 :フルーツメール会員( 株式会社アイブリッジ(大阪市福島区、代表取締役社長:松田康弘)が運営する「フルーツメール」に登録したインターネットリサーチモニター)のうち20歳以上男女。
対象地域 :日本全国
調査期間 :平成27年9月1日~平成27年10月1日
サンプル数:15,752サンプル
調査方法 :Web調査

 今回のWeb調査は、下記の属性の方々から回答をいただきました。

グラフ1:居住地G001

グラフ2:性別G002

グラフ3:年代G003

 

◆買い物に困っていることがあるか?

 まずは、普段の食料品等の買い物について、困ったことがあるかどうかを聞いてみました。
 年代別には、当初は高齢者に困っている人が多いと想定していましたが、むしろ若い層に多いという結果になりました。

グラフ4:買い物に困っていることの有無(年代別)G004

 地域別には大きな差はなく、おおむね3割が「困っていることがある」と回答しています。単純に、大きな括りで地域を区分してみるだけでは、それほど差はみられないということがわかりました。

グラフ5:買い物に困っていることの有無(居住地方別)G005

 

◆買い物をする時、どのようなことに困っている?

 買い物に「困っていることがある」と回答した4,528人が、どのようなことに困っているかを聞いた結果、まずは年代別にみると次のグラフのようになっています。
 全体でみると、「買い物したものが重くて困る」が多くなっていますが、年代別にみるとこの回答はどちらかといえば若い層に多く、60歳代、70歳代では「買い物先が遠い」という回答もかなり多いという結果となっています。また、サンプル数は少ないですが、80歳以上になると「一人では外出できない」も20.5%と多くみられます。

グラフ6:買い物に困っている内容(年代別)G006

 次に、個人属性ではなく地域による違いをみていきたいと思います。しかしながら、サンプル数の制限等により、地域を詳細にブレイクダウンしてみていくことはできません。
 一般的に、買い物施設などは人の多いところ、集まるところに立地し集積していきます。逆にいえば、そうではない地域には買い物施設が少なく、いろいろな不便を感じている人の多いことが想定されます。
 そこで今回は、調査対象者が居住する市町村の人口密度の違いによって「困っていること」にどのような差がみられるのかをみていきたいと思います。具体的には、山林や湖沼等の面積による影響を除くため、可住地面積当りの人口密度(以下、可住地人口密度と呼びます)別に調査結果をみていくこととしました。

 買い物に「困っていることがある」人がどのようなことに困っているかをみてみると、可住地人口密度の低い地域の居住者ほど、「買い物先が遠い」「交通の便が悪い」との回答が多くなっています。
 一方、可住地人口密度の高い地域では「買い物したものが重くて困る」という回答がかなり多く、「買い物先が遠い」はあまりみられません。

表1:買い物で困っている内容H001

 ここまでの結果を総合すると、先にみた困っていることとして最も多く挙げられていた「買い物したものが重くて困る」は主に可住地人口密度の高い地域の比較的若い層の人によるもので、可住地人口密度の低い地域に居住する人は主に「買い物先が遠い」「交通の便が悪い」という課題を抱えているということになります。さらに、後者については、どちらかといえば高齢層に多いということもいえそうです。

 

◆買い物行動の特徴は?

 ここからは、可住地人口密度別の買い物行動の特徴について、もう少し詳しくみていきたいと思います。

 まず、買い物先の店舗業態についてみると、可住地人口密度による違いはあまりみられませんでした。若干の違いはあるものの、圧倒的にスーパーでの買い物が中心(90%前後)となっていることがわかります。これに次ぐのはネット(生協等含む)で5%前後、百貨店や商店街等他の業態はそれをさらに下回るという結果でした。

表2:買い物先(対象:買い物に「困っていることがある」と回答した人)H002

 次に、買い物先までの移動時間についてみてみました。その結果、可住地人口密度の高い地域に比べ、低い地域ほど長い時間をかけていることがわかります。例えば、可住地人口密度が10,000人以上の地域では平均14.7分のところ、可住地人口密度が200人未満の地域では平均20.6分となっており、後者は5.9分程度長くかかっています。
 具体的な所用時間をみても、全体の80~90%の人が20分以内で買い物場所に到達していることろ、可住地人口密度が200人未満の地域では、「30分以内」が25.0%と全体の約2.6倍、45分以内も5.4%と多くなっているとおり、かなり遠くの買い物先へ出かけていることがわかります。

表3:買い物先までの移動時間(対象:表2のスーパー、商店街、商店街以外の商店、百貨店)
H003

 ここで買い物先までの移動手段をみると、可住地人口密度が5,000人未満の地域までは「自家用車」が50.0%を超えていますが、可住地人口密度が5,000人以上の地域では「自家用車」は急激に少なくなり、「自転車」「徒歩」の割合が増えています。
 可住地人口密度の高い地域では交通が便利であり、また自動車の保管場所などの問題もあり「自家用車」を所有していない場合もあるでしょう。また、若者の車離れも関係があるかもしれません。「自家用車」を所有していなければ、「自転車」や「徒歩」で出かけることになり「買い物したものが重くて困る」という意見の割合を押し上げている原因の一つかもしれません。

表4:買い物先までの移動手段(対象:表2のスーパー、商店街、商店街以外の商店、百貨店)H004

 さらに、買い物先までの移動時間と移動手段から、買い物先までの移動距離を算出してみました。その結果を可住地人口密度別にみると、可住地人口密度が低くなるにつれ平均移動距離が長くなっています。可住地人口密度の低い地域では遠くまで買い物に出かけ、可住地人口密度の高い地域では比較的近場で買い物をしていることがわかります。
 表3で示した移動時間の平均だけをみると、可住地人口密度の高い地域と低い地域の差は一見僅かな差のようですが、表4の移動手段を掛け合わせた移動距離に換算してみると、例えば可住地人口密度の低い地域(200人未満)と高い地域(10,000人以上)の差は約2.5倍に達していることがわかります。

表5:買い物先までの距離H005

 

◆地域の実情は?

 ここで少し見方を変え、可住地人口密度の高い地域、低い地域の実情をみておきます。

 まず、現状におけるスーパーの店舗数をみると、可住地人口密度の高い地域ほど多く、極端に差のあることがわかります。このような状況の中でも、先にみたとおり可住地人口密度の少ない地域の大部分の人がスーパーでの買い物を選択しており、結果的に遠くまで買い物に出かけているということになりそうです。

表6:平均スーパー店舗数H006

 可住地人口密度の低い地域、いわゆる過疎地と言われる地域は、一般的に高齢化が進んでいるということもまた言われます。
 そこで、可住地人口密度別の高齢者比率(ここでは60歳以上の人口比率)をみてみると、実際に可住地人口密度の低い地域になるほどその割合が高くなっていることがわかります。

表7:60歳以上人口比率H007

 さらに、将来における人口減少により、これまでみてきた可住地人口密度の区分による市町村数がどの程度変化するのかを予想してみます。
 結果は下表に示すとおりで、例えば2015年現在に356市町村であった可住地人口密度200人未満の地域は、2030年には448市町村にまで増大することが予想されます。
 先にみたとおり、これら可住地人口密度の低い地域では、現時点でも高い高齢化率が今後さらに進んでいくことに加え、現状は立地しているスーパーも周辺人口の減少に伴い今後統廃合されていくことが予想されます。

表8:可住地人口密度区分別市町村数の変化H008

 

◆ここまでの結果をまとめると?

 ここまでの結果により、可住地人口密度の低い地域の居住者は、買い物先であるスーパーが少なく買い物先までの距離が遠いことから、可住地人口密度の高い地域の居住者と比較して自家用車で買い物に出かける割合が高くなっていると考えられます。その分、自家用車で買い物に出かけるためか、現状では可住地人口密度の高い地域の居住者に比べ「買い物したものが重くて困る」という回答は少なくなっているようです。
 また、可住地人口密度の低い地域ほど高齢者の割合が高くなっており、今後さらに高齢化が進むと予想されます。グラフ6で既に60歳代、70歳代に「買い物先が遠い」という意見が多かったことを踏まえると、今後はさらに買い物先が遠いと感じる居住者の増加することが予想されます。
 加えて、今後における高齢化のさらなる進展を考えると、現状は自家用車で買い物に出かけている人が、将来的に自家用車を利用できなくなっていくことも想定されます。その場合、これらの地域ではさらに厳しい状況となり、いわゆる買い物難民となる人が増えていくことも予想されます。

 一方、可住地人口密度の高い地域の居住者は、交通の便が良い、あるいは比較的近くに買い物場所があることなどから、買い物に自家用車を使う割合が可住地人口密度の低い地域の居住者に比べ少ないため、「買い物したものが重くて困る」という回答が多くなっているようです。
 この傾向についても、今後における高齢化の進展により、さらに進んでいくことが予想されます。

 

◆最後に

 これまでに出てきたような課題を解決する方法の一つが「ネット」や「電話又はFAX」の通信販売ではないでしょうか?
 電話やネットで注文するだけで重たいものを持たなくても宅配便で家まで届けてもらえ、家から出ることも無く買い物ができてしまいます。
 今回の調査でも買い物に「困っていることがある」と回答した方々の買い物先は、「スーパーマーケット」に次いで2番目に「ネット(生協等含む)」が続いておりすでに利用されている方々もいるようです。

表9:インターネットを利用した支出(1世帯当たり1か月間の支出(総世帯))H009

 平成28年度の総務省統計局家計消費状況の中で、インターネットを利用した支出について見てみると、飲食料品で13.0%(食料品+飲料)となっています。
 スーパーや市場では、品物を自分の目で見、手で触って確かめて買うことができるのが良いところですが、食料品の中には油やみそ、しょうゆなど重たいもの、直接触ってみなくても大丈夫そうなものはネットで十分と考える人もいるでしょう。あるいは、信頼できる店のネット販売であれば、生鮮食品もネットで十分と考える人もいるでしょう。
 そのような人達が、上記の13.0%に該当する飲食料品購入者なのではないでしょうか。
 インターネットを利用したネットスーパーは、以前からイトーヨーカドー、イオン、SEIYU、サミットなどが行っていましたが、今年はネット通販大手のAmazonが2017年4月21日より生鮮食品を最短で即日届ける「アマゾンフレッシュ」を開始、またセブン&アイ・ホールディングスとASKULのタッグで2017年11月から「IYフレッシュ」という生鮮食品などの通販を始めると発表がありました。驚きなのはこの「IYフレッシュ」は配送時間を1時間単位で指定できるとのこと。即日や配送時間を1時間単位で決めることができるのであれば買い物時間も節約でき、重いものも持たずに大変便利です。

 ただ、これらネットスーパーについても、いろいろと課題は出てきています。
 アマゾンフレッシュ、IYフレッシュ等を含めたネットスーパーは大変便利だと思いますが、昨今の通信販売の伸びの影響で配達員の労働時間や配達員不足等の問題が発生しています。今後需要が増えた場合の配送の問題は大丈夫なのでしょうか?また、都市部だけでなく買い物弱者が増加していくと思われる可住地人口密度の低い地域をカバーしていくことができるのでしょうか?
 今後は、各地で実店舗の減少していくことが予想され、都市部においても局地的には非来店型サービスに頼らなければならないところが出てくることも考えられます。
 買い物に困る人が少しでも少なくなるよう、非来店型サービスの拡大・充実(安価で鮮度の良い食材提供など)が期待されます。

 今回のレポートはWeb調査の結果と統計データより作成しました。

 

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